これまでのあらすじ
<今から45年も前、青春と500ドルを握り締めて横浜を片道切符でユーラシアに放浪の旅にでた。二年の欧州滞在を経てパリからカルカッタまでの3万キロをボロVWで踏破。「荒野を目ざせ」や「深夜特急」より数年も前の記録。



 幸い白黒だが写真が残っていた。前年92歳で亡くなった母親がパスポートと一緒に箪笥にしまって置いてくれた。母が保管してくれていなければこの紀行はとても書き残すことは出来なかったろう。写真を見ると当時のことが眼前に現れてくる。母の想いは深い。

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プトレマイオスの見た天空の恒星と昴

 三人は腹ごしらえに甲板に出た。アレグザンダー号はその巨大な図体を順調に前進させていた。夜の地中海は天空の星と満月の光で照らされて薄明かりだった。

地中海の島ロードス島では一年の内300日が晴天だという。<月にむら雲などという風情はない。>

満天の星が輝いている。天元を仰いだ。オリオンの星座がみえ、その下にこぐま座が続く。少し東方向のおおぐま座にひしゃくの形の北斗七星が独特の形を広げていた。

星を形としてとらえたのは古代エジプト時代だという。メソポタミア文明にも星の形の記述が発見されたが、星座として今日の姿としたのは西暦100年頃、アレキサンドリアの天文学者プトレマイオスだという。オリオン座、ふたご座、等古代ギリシャに由来する星座をまとめて「トレミーの48星座」としたことにより成立したそうである。現在では国際天文学連合(IAU)が定めた88星座の分類により,名称の定義と各星座の範囲が厳格にきめられているとある。

各恒星は星座内での光度の順番によりギリシャ語のアルファベットでα、β、γと名づけられている。土星はかに座の恒星であり、火星はおうし座の恒星である。勿論α星であろう。ギリシャ時代に星座には全て神話が形成された。神話を基にホロスコープ(星占い)が出来上がっていった。ただ、さんかい座のプレディアスだけが例外でこの星が昴(スバル)である。

昴は神話からも自由で独立している。
 
夜のエーゲ海の空は雲ひとつない。空に点々の星ではない、正に降るような星屑だったことを覚えている。
 
ゴジーと非力は肌寒くなったのか、船室に戻っていった。私は少し感傷的になって、暗い海と満天の空を厭かず眺めていた。甲板の向こうにいた若いカップルがふざけあって嬌声をあげていた。
 ストラスブルグの下宿をでて、ドイツ、スイス、オーストリア、イタリア、ユーゴスラヴィア、ブルガリア、ギリシャを既に走ってきた。そして夜漆黒のエーゲ海を渡っている。(続く)
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