人生とは如何に短いものか。私ももう71歳。あと半年で72歳となる。子供の頃の記憶は新鮮でまるで昨日の事のように想い出される。ましてや1968年、横浜を発ってシベリア経由の世界旅の事はほんの半日前のようだ。今から50年前なのだが、人間の脳は旅先の食べたものの味、世界各地の匂い、風が皮膚を掴む感触、聞こえてくる様々な言語のやりとり、唇の柔らかさやルージュの色から、あたたかさ、まですぐに想い出すことができる神が与えてくれた天賦の器官である。コンピュータではこの間様々なメインテナンスが必要なのだろうが、人間の脳は肉体の存続する限り健康であれば記憶を保持されている。

バラ色の日々は1967-1969の足掛け2年の青春の放浪旅を綴ったものだがそれから50年経った今でもセピア色にはなっていない。眼前にある記憶である。

肉体の滅びる前にもう一度レビューバックしたいと思う。